Another Brick In The Wall Part 1
伏目がちな少年がいました。少年が言うには伏目にしていると誰とも相手されなくて気楽で良いし、たまにお金なんかも拾えることもあるし、ということらしいです。
ある日その少年がいつものように伏目で歩いていたところ交通事故に遭いました。車の運転手が言うにはあっちの方が気付いていて避けてくれると思った、だそうです。幸運にも少年は軽症で済みましたがその経験が少し考えを変えるに至ったのです。
伏目だと良いこともあるのだけど悪いこともあるのだなあ。一番大切なのはやっぱり自分の身体だしちゃんと前を見て歩くことにしよう、と。
前を見て歩いているとそこにはいつもと変わらない場所なのにとても素晴らしい世界がありました。さらに景色が素晴らしいということだけではなく、素晴らしい友達もできました。毎日がすごく楽しい!
たった目線を少し上にしただけでした。たったそれだけのこと。だけど少しの変化が大きな変化をもたらしたのです。
しばらく幸せな日は続きました。しかしある日少年はまた事故に遭ってしまいました。今度の事故は大きな事故で失明してしまったのです。原因は足元にありました。不良の人達が散らかした物に引っかかり気付いたら目にビール瓶のかけらが刺さっていたのです。
何も見えませんでした。これからどうしていこうか、何も見えませんでした。真っ暗闇です。人生もお先真っ暗。少年は思いました。ああやっぱり伏目のままの方が良かったんだなあ。少しくらいの怪我で済むのだから。
しばらくして事故のことを知った、前を向いていた時にできた友達がお見舞いに来てくれました。俺がお前の目になってやるよ、いっしょに学校行こうぜ。何も見えない目から涙がこぼれました。目の前に光が広がったような気がしました。これからも前を向いて歩いていこう、と。前向きに生きていこう。
|