■2002/09/17

End Of Harvest

新聞のテレビ欄で、笑う犬に最終回のマークが載る度に、何かしら少しばかり期待するのだけど、その期待は必ず次週に裏切られる。


■2002/09/19

Song For The Dead

ここ二日間は暇で暇で仕様が無かったのです。実際のところは、今日は予定があったのですけど、その予定が昨日の深夜の凶報で無くなりまして、特にやることも無かったので家に閉じこもっていたのです。

昨日はなにかしら映画でもレンタルしてみようかなと思っていまして、レンタルするとすれば、あれだ、『ダンサーインザダーク』だ、なんて感じで。なぜならこの映画は悪い評判は聞きませんし、そもそもあの松本人志が誉めていた映画なので、僕は松本人志を尊敬しているから見なければいけない、なんて義務感から、よし!一見してみようじゃないですかと相成りまして。

それから家のすぐ近くにあるレンタルショップに行くつもりで出掛ける準備をしながら、レンタルショップでの行動のシミュレーションを頭で巡らしていました。そうすると店員がこんなことを言うのでした。

「会員証をお持ちでない方にはレンタルを許可することはできませんので、こちらの用紙に必要事項をご記入いただきまして…。」

そうでした。僕は、この家から一番近いレンタルショップの会員ではなかったのでした。そのことを理解したと同時に外出のために着替えた洋服をさっと脱ぎ去り、ぶつぶつ言いながら本を読んだりテレビを見たりして一日を過ごしたのです。特に実りの無い昨日。

そうして今日。今日は、会員でない?そんなことは関係ない、必要なら会員にでもなってやろう、この用紙に記入したらいいんですね、そうしたらそのビデオをレンタルしてくれるんですよね、一日を無駄に過ごしてはいけないよね、って感じで今日の起床時に思い立ち、食事を済ました後に外出の準備をしていました。昨日と同じシミュレーションを頭で巡らしながら…。

「あのー。レンタルしたいんですけど、会員じゃないので会員になりたいんですけど。」

って言おうとする寸前で気付きました。あの店員って、そういえば僕の友達の友達だった、そういえばその友達とレンタルショップに行ったときに親しそうに話していたものね、しかし僕はあの店員とは親しくない。これは問題で、レンタルする時には店員と一言二言言葉を交わさなければいけないから、お互いの関係で、微妙な雰囲気になることは明白です。

そのことを理解したと同時に、昨日と同じように外出のために着替えた洋服をさっと脱ぎ去り、ぶつぶつ言いながら本を読んだりテレビを見たりして一日を過ごしたのです。特に実りの無い今日。


■2002/09/20

Salvation Army

明日から一泊キャンプに行ってまいります。昨日の深夜に、暇だ暇だとインターネットにアップロードせんがための日記を黙々と書いていましたときに、今週の週末も暇ではないですかと思いました、僕。暇なら予定を作ればよい。先々週の週末に天候の関係上キャンセルになってしまったキャンプになんぞ行きたいなーと思って、そうその時にはただ思っただけだったのでしたけれども。

今日友達からある用事のメールを受信した時に、その用事のことはさらっと流して、軽い気持ちで今週の週末にキャンプとかどないですかというメールを送信したところ、考えてみますというメールを受信して、ではキャンプに行けそうな人を誘ってみましょうというメールを送信しました。

数少ない友達にキャンプとかどうですかキャンプとかどうですかと聞いて回ると、意外とあっさりに行きましょうという承諾の返事が多かったのですぐに人数は集まったので、明日からキャンプに行くことになったのです。まさか実現してしまうとは思いもよりませんでした。僕って幹事とか、そのような才能あるんじゃないの、というような気がしましたが、そんなことはないとすぐに自分を否定。

明日は琵琶湖辺りに行く予定ですが、もしかするとその日に場所を変えてしまうかもしれません。そのような心構えでキャンプに行きたいと思います。キャンプ用品は行く途中に買う予定です。そのような心構えです。


■2002/09/22

Warning

琵琶湖にキャンプ行ってまいりました。キャンプ用品も食料もキャンプする場所も当日に決めてしまうというような心構えで行ったのにも関わらず、なかなか楽しめました。むしろそのような心構えだったからこそ楽しめた、と言えないこともないでしょう。

テントを張れそうな場所を見つけたのが日も沈みかけていた時間であり、そもそもそのテントを張れそうな場所を見つけれたというのも、その場所がオートキャンプ場だからなのであって、その場所に辿り着いた時にはすでに受付が閉まっていて、それでは仕方が無い、無断で入ってしまおうということになって、無断進入禁止なんて書いてあったような書いて無かったようなそんな柵も動かして、中に入ってみると水は止まってる、店なんて寂れた看板がだらりと下がったままで営業なんてやっていない、テントを張っている人も自分達の後から同じように柵を動かして進入してきた核家族くらいで、どこがキャンプ場の様相であるか。

そんな良いか悪いかをも超越したような場所でテントを張ることになってしまいましたけれども、場所が決まった後はそれぞれ役割を分担して、なんとか暗くなる前に、テント設置、バーベキューの下準備が整いまして、満足な食事をすることができました。それから鼻メガネ、ブーブークッション、黒ひげ危機一髪、ごきげんようサイコロなどの小道具をおかずに、小一時間ほど談笑、それから寝袋での就寝となったのです。

就寝となったのですけれども、簡単には寝付くことができません。そして寝ようとしている時には人間、何かしら考えてしまいます。明日にオートキャンプ場の管理人が来てキャンプ場の入場料なんて取られるのは嫌だなあ、だけど水が止まっているようなキャンプ場は管理しているのだろうか、やはりここは放置されていると考えるのが妥当であろう、しかしなぜ放置されているのか、琵琶湖に面したキャンプ場、あちこちから聞こえてくる子供の笑い声、そこに現れた鉈を持った男、笑い声はすぐに叫び声に変わり、琵琶湖は赤い光を放つ湖となっていった、なんてことを考えたりしていました。キャンプの前日にインターネットで怪談話を三時間ほど読んでいたからでしょう。そうするうちにしだいに意識も薄くなっていったのです。

朝は、入場料を取られたくないので、早朝五時くらいに起床して朝食のうどんを作って、そそくさと帰路に着いたのです。非常にあわただしいキャンプでございました。


■2002/09/24

Freak On A Leash

学校に行く前に再修理を頼んでいたウォークマンを引き取りに行きました。しかし今度こそ修理されているだろうという淡い期待はもろく崩れ去ってしまったのでした。修理に出したが異常は見られないと言うものでした。

異常は見られない…

異常は見られない…

異常は見られない…

なんだ。異常は見られないという判断をした修理センター自体が異常だったんだなあ。はは、因果なものです。異常が見られないと判断した人が異常だったなんて。

きー!なんだろう、この屈辱。顧客が異常と感じたら異常という判断をしてもらいたいです。さあ、家に帰って電話をしよう。どんな罵詈雑言を吐いてやろうか、などと考えていくうちに頭の中は黒いものに支配されていきました。

しかし異常といっても、時々電源が切れるだけで、音楽が聴けないわけじゃないので、学校に行くまで音楽を聴いて心を静めよう、なぜなら今日はこれから半年間の研究内容の発表だから。そして音響、エレクトロニカなんて感じの音楽を聴こうとウォークマンのリモコンの再生ボタンを押しました。押しました。押しました。

再生しない…

再生しない…

再生しない…

異常は見られない…

きー!異常は時々電源が切れるといったような甘いものではなかったのでした。そして再び黒いものが頭の中で動き始めました。今回の黒いものは先ほどのものよりも大きなもので頭が割れてしまうかと思いました。投げ出したくなりました、何もかも。

黒いものが頭にこびりついたまま。学校に着いて研究内容の発表となりました。僕の研究内容はアクションインターフェースということで、企業と共同研究ということもあるかもしれないということです。因果なもので、その企業とはウォークマンを修理してくれない企業だという噂です。僕は頭が割れて黒いものが噴出しました。


■2002/09/29

Pull/Pulk Revolving Doors

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を見ました。後味の悪い映画だと散々聞かされていたからか、思っているほど後味は悪くありませんでした。僕は、ごく普通に話が展開していってその流れのまま普通に終わってしまうような映画は嫌いではないので、このエンディングも別に嫌いではありません。

本当の世界での出来事をハンディカメラで撮っていて、空想の世界のミュージカルはきっちりとしたカメラワークで、もちろん普通の映画を撮るカメラで撮っていまして。空想の世界は作られらた世界、だからカメラワークとかきっちりしてるのかもって思いながら見ていました。

それでもその繋ぎ方が良い感じですんなり見れました。ミュージカルってあまり好きじゃないのだけど、この映画はミュージカルが無かったらただ辛い二時間だけだから。空想の世界だけが本当の世界のどうしようもない不幸な物語から、目を背けられるシーンだから。あ、ミュージカルのシーンに入るのが待ち遠しかったのは不幸な本当の世界から目を背けたかったからか、なんて今気付きました。

一番印象に残ったのは、処刑される場所に向かうミュージカルシーン。今から処刑される人間が、元気に踊りながら処刑場にカウントダウンしながら向かう、なんてすごいシーン。最後にラストシーンの前の穏やかな曲の歌を歌い終わる途中で処刑、それからエンドロールまでの静寂。空想の世界さえも見させてもらえないなんて。世界は苦痛だらけ、救いなんて無い、世界はそのようにできている、なんて感じの曲の長い長いプロモーションビデオを見たような気分。

すごい映画だと思いました。そう思わされた時点で僕はこの映画を気に入ったのでしょう。