■2002/12/19

Under My Umbrella

普通免許初回更新のための講習会に行った時のこと。僕は当たり前に初回更新のための講習会だと思っていたので、会場は初々しいドライバーばかりだと思っていました。それも地元の会場でしたので、知ってる顔もちらほらいるのではないかな、なんて考えていました。あまり会う機会の無い知り合いに会えるかもみたいな感じの。

講習会当日は開始時間の少し前に自転車で到着しまして、手続きを済まして何冊かの資料を手に会場の扉を開けました。会場はあちこちからこそこそ喋り声が聞こえ、というような状況とは全然違いまして。喋り声なんて全く無く、基本的に下を向いて死んだ魚のような顔をしています。それに若い人がちらほらとしか見当たらない、おっさんばかり。これはおかしいなんて思いまして、あたりをちらちら見渡しているとすぐに教官らしき人がやってきました。

「はい、こんにちは。えっと今回は交通違反者と初回更新時の講習会ということで。多くは交通違反者だと思われますが、今日言いたいことは簡単なことでして、それはルールを守って欲しいということであります。」

なるほど死んだ魚のような顔になるわけです。僕は二度とここに帰ってこないようにしよう心に誓ったのです。そういうわけなので初回免許更新のための講習会と銘打っての、交通違反者との合同講習会は意義ある講習会だったのではないだろうかと思うのです。


■2002/12/21

I'll Be Your Mirror

築何年とも立たない新しい一戸建ての家では、太陽が沈んむと家の前に立つだけで入口を照らしてくれるものがあるようで。少しばかり田舎の方にある僕の大学周辺では、開発が行き届いてないのでそういった新しい家が多いのです。すっかり暗くなってしまった学校帰りには、住宅街を通ると歩調に合わせて、すっかり冷え込んだ冬の暗がりを照らしてくれるのです。

だけれども、その光は、幸せな家族が身を屈めて一人で歩いてる僕に情けをかけているようで酷く辛いものなのです。光が僕を照らせば照らすほど、僕は暗くなっていくのであります。


■2002/12/24

Garden Of Chalcedony

昨日のことなんだけれども、京都まで買い物に行ってまして、四条河原町ではお馴染みの天皇陛下万歳結社が君が代を大音量で流していたのです。僕はキリスト教を信仰しない日本人でありながら、キリスト行事に身を染める自分達に警告を発しているのだと解したのですけれども、なんのことはない、昨日は天皇誕生日でした。彼らは自分達の信念を全うしていたに過ぎなかったのです。でもできれば他人に迷惑をかけないようにする方が好ましいと思います。


■2002/12/26

With The Lights Out,We Sing

なんとなく年末の季節によくニュースで見かける感の強い、立てこもり事件でござあすが、今日の立てこもり事件はいつも無関心で見ている立てこもり事件とは違いましてね。というのも通学の途中、電車の乗り換えの駅の本当にすぐそばが事件現場でして。

年末だというのにも関わらず研究のミーティングで学校に行かなければならなく、当然やる気の欠片なんてまったくなくて、のらりくらりとなんとかミーティングを乗り越えようと考えていたんですけれども、学校について立てこもり事件を知り、帰りに見ることができるということでやる気が湧いてきたのです、ミーティングを早く終えないと事件が収束してしまうので、早く終えることができるようがんばろうと。

何事も思い通りにいかないのが世の常でございまして、今日のミーティングは担当の助教授が遅れてきて、なおかつ途中に用事もあったみたいで時間がずれ込んで、今までで一番時間の掛かったミーティングとなったのです。それでもミーティング終了後にニュースを見るとまだ立てこもっていることを知って心躍り、急いで学校を後にしたのです。

事件現場の駅まで地下鉄で向かっている途中、あまりに長い時間ミーティングの緊張状態にさらされていたので疲れが溜まっていたのでしょうか、それなりに深い眠りに入って目が覚めた時には事件現場の乗り換えの駅に到着していたのでした。それから僕は一目散に電車に向かったのです、あまりにも眠く暖房の効いた電車で眠るために。本当、野次馬の気持ちとか全然分からない。


■2002/12/28

I Want The Blindingly Cute To Confide In Me

通学の際に心掛けていることがあって、それは最短距離で学校に辿り着くということなのです。最短距離の順路を選択するのは当然でして、最も気にしているのが道を斜めに横切るということなのです。

道には道幅がありまして、ということは道というのはいわば長方形なのですよ。その長方形の対角にある端から端の最短距離といえば、もちろん長方形の対角線なわけで、僕はそこを歩むことを常日頃から心掛けているのです。


■2002/12/30

Oh Messy Room

大阪の有名な電気街に、研究に必要な電子部品を買いに行っていました。担当の助教授は、電子工作なんて経験のない僕に、別に難しいことではないと繰り返し言うので、簡単なのかなと乗せられてしまいまして、って卒業も掛かっていますので、半ば強制的に電子部品を買いに行っていたのです。

今日は天気が良かったので、小一時間ほど自転車を走らせて行ってまいりました。助教授にここに行くと良いよと言われていた店のある場所に着いたところ、オレンジ色のシャッターがきっちり閉まっていました。それでも僕は、ぬかりがありません。近くの電子工作の店を数店舗リストアップ済みなのですよ。

そういうわけでリストアップされた別の店に行きまして、あのお僕は電子工作というものをしたことないのですが、こういうことをしたいのです、と詳しく説明したところ、あなたみたいな初心者は簡単そうにできると思っているようですが、そんなことはできません、これだから初心者は困る、とのこと。すいません、初心者で。それなりに食い下がってみたのですが、どうやら本当にできないようで。すいません、初心者で。

店を後にした僕は、小一時間ばかり自転車を走らせて、なぜこんなところに立っているのだろう、と。そんなことを考えているうちに、ああ寒い、肌寒い、肌が寒く感じる。どうしていいのか分からなくった僕は目の前に轟々しく聳え立つ大阪のシンボルに呼ばれるかのように、無心で通天閣に自転車を走らせました。そして通天閣の真下で周りの目を憚らず、号泣、絶叫、嗚咽、阿鼻叫喚。